2010-01-01から1年間の記事一覧

亡霊

私の職場の学校がある場所は古戦場だった。 本当かどうか分からないが、学校周辺で甲冑姿の 武将の亡霊が出るそうだ。 私は生まれてこのかた、まだ一度も亡霊というものを見たことがない。 しかし、俳優の佐生有語氏には亡霊が見えるらしい。 映画『実録・連…

自己の中に

Not to know that no space of regret can make amends for one life's opportunity misused! 「どんなに後悔しようとも、道を誤った生涯は償えないことを知らないとは!」 C.ディケンズ『クリスマス・キャロル』 ある時、母にたずねたことがあった。 もし…

冬の到来

アレルギー疾患がおさまった。 本格的な冬が来たと実感した。 様々なアレルギーを引き起こす草や木が枯れ果てて虫が死滅する真冬こそ、 私が一年のうちで最も健やかに過ごせる季節であると感じる。 しかしインフルエンザやノロウイルスなどのウイルスが活発…

スクラップブック

17年前、連合赤軍による一連の事件記事を国会図書館で 入手し、それをスクラップブックにまとめて仕上げていた。 あの当時、毎週のように国会図書館に行って事件当時の 新聞記事を集めた。当時のことを知るには新聞記事が一番信憑性があると思った。 スクラ…

黄葉

深まる秋の紅葉は目を奪われるほど美しい。 北海道のナナカマドや京都のカエデのあでやかな深紅の紅葉はすばらしい。 東京の紅葉は主にイチョウである。 特に太陽の光を浴びたイチョウの葉は黄金色に燦然と輝いて 風情がある。 今は紅葉も終盤にさしかかって…

茶迷

中国語で「迷」は、日本語と同じ「迷う」の意味だが、その他に「夢中になる」という意味もある。 そして単語の後ろに「迷」をつけると「〜愛好家」 「〜マニア」の意味になる。 たとえば映画マニアは「電影迷」、 切手マニアは「集郵迷」となる。 さながら私…

私だったかもしれない

「私だったかもしれない永田洋子」という句がある。 もし私が全共闘時代に大学生だったら、永田洋子や重信房子は私だったかもしれないと、思うこともある。 永田洋子や重信房子が学生運動を始めたきっかけは、女性の地位向上のためだという。 その動機は決し…

犯人

子どもの頃、テレビで重信房子の顔を見た。 あの当時26歳だった重信房子は、日本赤軍の国際テロ組織の リーダーで指名手配犯だった。 まっすぐ伸びた長い黒髪…こちらを見つめる大きな目… きれいなおねえさんだと思った。 でもあの女の人は「犯人」と言われ、…

人生の岐路

人生は、選択の連続である。寺岡恒一さんが、先に合格した早稲田大学に 入学していたら… その後の人生は変わっていたかもしれない。榛名山の管理人の丸岡和平さんが、 山の林道で見かけた不審な男を警察に通報していたら… その後の事態は大きく変わっていた…

2つの事件

群馬県の榛名山は連合赤軍の大量リンチ殺人事件があった前年にも、大量殺人事件があった。 1971年に起きた大久保清事件である。 大久保清(1935年〜1976年刑死)は、1971年3月31日から5月10日までのわずか41日間に、画家や教師を名乗って「絵のモデルになっ…

倉渕村 十二塚

今から17年前の10月24日に、連合赤軍の山岳ベースアジトがあった榛名山を訪れた。 山の管理人の丸岡和平氏にお会いして当時のお話を聞くことができた。 私はその足で、連合赤軍がリンチで命を奪った仲間の遺体を埋めた場所に行って、彼らの冥福を祈ろうと思…

榛名湖管理事務所で

17年前の10月24日に、初めて榛名湖を訪れて、 管理人の丸岡和平氏にお会いした。 丸岡さんは連合赤軍事件に詳しいかたで、この時、 榛名湖管理事務所で丸岡さんご夫妻とお話できた。 丸岡さんが一冊の本を見せてくださった。 それは坂口弘の短歌集『歌稿』だ…

榛名山へ

17年前の10月24日、私は榛名湖を訪れた。 あの時あの場所で何があったのか、 どうしてもこの目で確かめたかった。 榛名湖は秋の晴天に恵まれて、湖面が紺碧に輝いて気持ちが和んだ。 こんな穏やかな場所で、本当にあのような 恐ろしい事件が起きたことが信じ…

学生運動家 矢吹恒一

連合赤軍の幹部で、山岳ベースアジトで12名の仲間をリンチで殺害し、あさま山荘事件で3名の命を奪った罪で死刑が確定している坂口弘の手紙がある。 「あの頃T君の下宿でよく泊りがけをしたものだ。 三畳の狭い部屋で、貴君を含む五、六人の若者が 額を突き…

交友

今日、半年ぶりに寺岡恒一さんの墓参の後、 お母様にお会いした。 寺岡恒一さんは、中高一貫校を卒業後、 一浪して横浜国大に入学した。 高校時代の友人たちは今でも毎年墓参に訪れるそうだ。今年はご自宅にもいらして、恒一さんを偲んでいかれたという。 恒…

由比ヶ浜

西麻布のショップ『スポーツトレイン』のオーナーで、 黒澤映画で有名な俳優の油井昌由樹氏は、 西麻布のことを映画にしたいとおっしゃっていらした。油井氏は脚本も執筆するご予定だそうだ。 西麻布の映画に、『スポーツトレイン』につながりの ある人たち…

人生の達人

「あなたの年齢では 低い丘の途中で人生を振り返るようなもの。 でも私くらいの年齢になると 山の頂上から人生を見渡すことができる」 シャネルブランドの創始者ガブリエル(ココ)・シャネルが、若いモデル志望のノエルに言った言葉。 私はブランドにはあま…

学歴とは

「学歴や家柄だけで人を判断するような、そんな 薄っぺらなつまらん人間になったらあかん」と、 父は生前そう話していた。 子どもの頃、父の最終学歴は高卒だと思っていたら、大学を出ていることが後で分かった。 当時は飛び級という制度があって、大学を2…

海の素顔

江ノ電で巡る湘南海岸は、波も穏やかで、 美しい海岸線がどこまでも続いて 引き込まれるような景色だが、そんな穏やかな海も、 時には人の命を一瞬のうちに奪い去る厳しい一面も持ち合わせている。 今から100年前の1910年に七里ヶ浜沖で水難事故があった。 …

初めての墓参 鎌倉へ

今から17年前の今日、初めて寺岡恒一さんが眠っている墓地を訪れた。 墓地がある鎌倉へは江ノ電で行った。 鎌倉高校前駅は目の前が海で、 この高校に通う生徒は幸せだと思った。 源義経が足止めされたという腰越海岸や、七里ヶ浜、稲村ヶ崎、由比ヶ浜と、鎌…

北の大地

この夏の異常な暑さに、すっかり参ってしまった。 暑さから逃れようと北海道に行こうと思ったが、 北海道も例年にない暑い夏だったそうだ。 それに雨が多く悪天候が続くようで断念していたが、金井英明氏の作品が見たくて札幌行きを決めた。 札幌なら大都会…

ウォーターフロント

世の中には海を愛する海彦と、山を愛する山彦が いるという。 私は断然海彦のほうだ。 子どもの頃、横浜港を見て育った影響かもしれない。海に限らずウォーターフロントが大好きだ。 先週、わずか3日間だが北海道へ行った。 札幌に2泊の予定だったが1日目の…

お茶の効力

この夏は、例年にない酷暑で、私もすっかり暑さに参ってしまって、頭痛や胃の痛みや無気力に悩まされている。 本当は涼しい北海道で数日を過ごす予定だったが、現地では 悪天候が続いているらしいし、私も体調を崩したため断念した。 何をするにしてもまず健…

平和であるためには

いつの世も、老人が戦争を始めて、若者が死ぬ。 しかし平和を作る役目も老人が担う。Then old men make the peace. And the vices of peace are the vices of old men-mistrust and caution. 老人は平和をつくる。そして平和の短所は老人の 短所、つまり不信…

カウラについて

オーストラリアにも日本庭園があることを知った。 その頃戦争のドキュメンタリー映像ニュースを見た。太平洋戦争で、多くの日本兵の遺体を 大勢のオーストラリア人が埋葬している映像があった。それも皆沈痛な面持ちで、涙を浮かべていた兵士もいた。 敵地で…

キエフにて

今のウクライナ共和国がまだソ連の一部だった頃、 首都キエフは、モスクワ、レニングラード(現サンクト ペテルブルク)に次ぐ大都市だった。 私は旧ソ連時代にキエフを訪れたことがあった。 キエフの中心地に、「不滅の栄光の丘公園」があり、 ドニエプル川…

英連邦戦死者墓地

横浜には3つの外国人墓地がある。 ひとつはあの有名な山手の外国人墓地である。2つ目は華僑の墓地、 そして3つ目が保土ヶ谷区の英連邦墓地である。 『カウラ日本兵捕虜収容所』の著者、永瀬隆氏は、1995年から毎年8月に英連邦戦死者墓地で関係国の人々を招い…

カウラ 8月5日

オーストラリアのシドニー近郊にカウラという町がある。1944年のこの日、第2次世界大戦での日本兵捕虜収容所においての大規模な暴動事件があった。 日本は「玉砕」という言葉に象徴されるように生き恥をさらして捕虜になるよりは死んだほうが立派であるとい…

8月が来るたびに

8月が来るたびに戦争について考える機会が多くなる。日本は2度にわたる原爆投下の被害者という立場が重要視されているが、同時に加害者でもあった。 太平洋戦争で日本はオーストラリアとも戦った。 アメリカ同様オーストラリアも日本との戦争で初めて本土を…

三百六十五季

暑い夏が来ると 北海道に行きたい気持ちになる。 北海道は大陸のようだ。 その雄大な自然の風景にいつも感動させられる。 冬の流氷の景色も、この世のものとは思えない美しさが印象に残っている。 そんな風景をリアルに描く画家がいらっしゃる。北海道出身の…