私の願望

"If it were I who was to be always young, and the picture that was grow old!" Oscar Wilde "The Picture of Dorian Gray" 「僕がいつまでも若さが変わらないで、この絵の方が年を取ればいいのに!」オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』随分前…

死生 命あり

岩手県久慈市に住む叔母が亡くなったとの知らせがあった。 あと2日で70歳の誕生日を迎えるところだった。 去年の八月に久慈で会った時には元気そうだったので、突然の訃報が信じられなかった。 亡くなるちょうど前日、母が叔母に電話してみたところ、ちょっ…

謹賀新年

「手のわろき人のはばからず文(ふみ)書き散らすはよし。見苦しとて人に書かするはうるさし」吉田兼好『徒然草』 「悪筆でもかまわず手紙(特に恋文などの私的な手紙)を筆にまかせて書くのは良い。 しかし字が下手だからと言って誰かに代筆させた手紙は不…

最高のピアニストへ  Happy birthday

音楽の演奏を聴くと、アーティストの名前がすぐに分かる奏者がいる。 たとえばバイオリンなら、曲のはじめの音を聴いただけでユーディ・メニューインが弾いている、と、すぐに分かる。 この世のものとは思えない美しい音色を奏でるメニューインのような偉大…

東は西

私が今までの人生で一番最初に見た映画はディズニーの『ジャングルブック』だった。 アニメとは思えないリアルで感動的な映画で今でも強く心に残っている。 後年この映画の作者がノーベル賞作家のキプリングだと知った。 キプリングの有名な詩に『東と西のバ…

哀悼のピアノ曲

秋は芸術やスポーツ、読書、音楽など様々な活動が盛んになる。 私はやはり芸術の秋、それも音楽に興じることが多い。 特にピアノを演奏したくなる。 1849年の今日、ショパンが亡くなった日だ。 当時まだ死病だった結核で39年の生涯を閉じた。 命日に合わせて…

Stranger than fiction 検診の意味

Truth is always strange; Stranger than fiction. "Don Juan" by George G. Byron(1788〜1824) 「事実は常に奇遇だ。小説よりも奇遇なものだ」バイロン(『ドン・ジュアン』より) 私の友人が、くも膜下出血で倒れたとの知らせがあった。 幸い命は助かり後…

2017年 秋

今年もまた秋が巡ってきた。彼岸を過ぎると日没が一気に早まってあっという間に日が暮れて焦ってしまいそうだ。 秋の彼岸の時期が来ると、例年通り寺岡恒一さんの墓参と寺岡さんのお母様にお会いしてお参りしたいと思う。 今年も彼岸を過ぎた今日になってし…

大河ドラマに想う(2)辞世の句

大河ドラマ『おんな城主直虎』で、高橋一生氏が演じた小野政次の祖先に、 和様書道家であり三蹟の一人である小野道風がいた。 小野家は代々この小野道風の書を伝えたのだろうと思う。 小野政次もきっとかなり達筆な人だったにちがいない。 大河ドラマで、政…

大河ドラマに想う 賓客(まろうど)

幕末の卑劣な暗殺集団としてさげすまれた新選組が、司馬遼太郎の『燃えよ剣』で 一躍脚光を浴びたり、安政の大獄で多くの有能な人材を弾圧して疎まれた井伊直弼が、NHKの大河ドラマ『花の生涯』でその人物評価が見直された。 小説やドラマで歴史上の人物が今…

琥珀の町へ

十数年ぶりで叔母夫婦が住む岩手県の久慈へ行った。 この夏は雨が続いて、東京だけでなく岩手も8月は晴れの日が一日もないという。 それに気温が低くて肌寒いくらいに感じた。 それでも久しぶりで親戚に会えて、行ってよかったと思った。 久慈といえば琥珀の…

春の日に

今年もまた春のお彼岸が巡ってきた。お彼岸より少し遅れて月末に 例年通り今年も寺岡恒一さんのお母様にお会いしようと思った。 その前にお墓参りをした。 桜の開花を期待して、桜並木を通ってお墓参りができるのを楽しみにしていた。 しかし今年は寒さが長…

岡目八目

囲碁の世界で「目(もく)」は、地の数や石の数を表す単位として使われる。 「岡目(おかめ)」とは遠くから見ている目という意味で「傍目」ともいう。 囲碁で対戦している2人は、勝負にこだわって自分の一手に集中しているが、その対戦を傍で見ている者の…

読書の秋に想う

今は読書週間である。 本を読んでいると、言葉では言い表せない心のどこかで 「求める何か」を感じることがある。 この「求める何か」を感じる本は、いわゆる名作といわれている小説であったり、娯楽の分野である推理小説であったり、エッセイであったりと、…

ハロウィーン・パーティー

最近ハロウィーンが注目されていて、日本でこれほど多くの人々に浸透するとは意外なことだと感じている。 私がハロウィーンについて知ったのは、中学生の時の英語の教科書の中でのことだった。 その当時、日本では知られていない遠い国の面白そうなイベント…

故人を偲ぶ

今日は素晴らしい秋晴れだ。 今までの長雨と天候不順を払拭するかのような雲一つない青空とすがすがしい秋の空気が気持ちよく感じた。 半年ぶりで寺岡さんのお母様にお会いした。 ご自宅の庭には柿の木が実をつけていた。 今年は当たり年ではないため、柿の…

朋来たる

長年文通をしていたオーストラリアの友人の弟さんご夫妻にお会いした。 ダイヤモンドプリンセス号で東南アジア各国を巡って日本各地の港湾都市を訪れ、クルーズの最終目的地の横浜に寄港し、最終目的地の東京でお会いした。 途中、鹿児島にも立ち寄ったが、…

地震 

一昨日から昨日にかけて熊本やその周辺で大地震が発生した。 東日本大震災を思い出す。 それに関東地方では強風や突風の被害が相次いでいる。 日本は正に災害列島である。 被害にあわれた方々には本当に心からのお見舞いを申し上げます。 現地では非常に多く…

花花花

関西の桜と言えば京都を思い浮かべることだろう。 平安神宮や仁和寺の桜の美しさは筆舌に尽くす思いがする。 京都の桜も見事だが、大阪の桜も実に豪華さがあって美しい。 その代表的な桜が造幣局の通り抜けである。 私もずっとこの大阪の桜にあこがれて、一…

憧れの街 水の都

私はまだ日本第二の都市、大阪へ行ったことがなかった。ぜひ行ってみたい憧れの都市であった。 大阪は水の都として栄えた都市で、川を最大限に利用してきた場所である。 大阪の桜を見たくて大阪城公園のそばのホテルに滞在した。 ホテルの部屋から大阪城が見…

懐かしい歳月の断片

今年も春のお彼岸の頃になり、寺岡さんに会いに ご自宅に向かった。 寺岡さんは去年の暮れにお顔に帯状疱疹ができたため入院していたそうだ。 今はもう治まってお元気そうなご様子だが、 時々通院しているそうだ。 お宅には週に一度、介護ヘルパーに来てもら…

光陰矢の如し

台湾の旧正月である春節の頃に、長年にわたって年賀のあいさつを続けていた知人の奥様が突然お亡くなりになったとの知らせがあった。 その方のお宅にはわずかの間だが部屋を間借りしていたこともあり、ずっと恩義を感じていた。 夜間に突然お亡くなりになっ…

朋あり遠方より来たる

86歳で亡くなったオーストラリアの友人のご遺族から、思いがけずクリスマスメールをいただいた。 来年の3月下旬にダイヤモンドプリンセス号で シドニー港を出発して東京までのクルーズを楽しまれるそうだ。 寄港する横浜か東京でお会いできそうだ。 亡き…

秋の日に

今回も10月になってしまったが、この秋も寺岡さんのお母様にお会いすることができた。 お宅の庭の柿の木には柿がたわわに身をつけて、枝が垂れ下がっているのもあった。 2年前に雪野建作氏や連合赤軍の全体像を残す会のメンバーの方々と寺岡さんにお会い…

Measure my song...逃げるが勝ち

『スイミー』を書いたオランダ出身の童話作家レオ・レオニの作品にシャクトリムシが主人公の”Inch by inch"がある。 腹ペコのコマドリに食べられそうになったinchworm(シャクトリムシ)が「わたしを食べないでください。私は何でも測れる役に立つシャクトリム…

伝統工芸品 japan

”Japan”は英語で「日本」という国名を表すが、 ”japan”と一般の名詞で表記すれば「漆器」という意味になる。 日本といえば漆器を表すほど漆器は日本の 伝統工芸品の代表である。 中でも輪島塗は日本の漆器の中で最高の漆芸品である。 しかしそれだけに値段が…

藍より青く

中国共産党の最高指導者、毛沢東の妻であり文化大革命の指導者であった江青は、女優時代に「藍蘋」と名乗っていた。 毛沢東を師と仰ぎ、共産党の本拠地に着いた時から「江青」と名を改めた。 荀子の言葉にある「青出于藍而青于藍」(「青は藍より出でて藍よ…

めぐる季節 春

昨年の10月以来、もう半年が過ぎた春のこの日に、墓参の後、寺岡さんにお会いした。 お宅のお庭の椿が綺麗に咲き誇っていて、 厳しい冬もやがては過ぎゆき再び春がやってくるのだと季節の移ろいを感じた。 聞くところによると、恒一さんの命日の頃に、 高…

人生は旅のごとく

"Whenever I prepare for a journey I prepare as though for death. Should I never return, all is in order. This is what life has taught me." K.Mansfield (旅の支度をするとき、私にはまるで死の準備をするかのようだ。 帰ってこられなくても万事整然…

いつかある日

「いつかある日 山で死んだら 古い山の友よ 伝えてくれ…」 登山者の挽歌といえるようなこの歌の歌詞を 思い出すたびに、 連合赤軍事件のことを思い浮かべる。この歌詞を書いた人は、この歌の通り、 世界最高峰エベレスト登頂に失敗して 帰らぬ人となった。 …