人生の達人

「あなたの年齢では
低い丘の途中で人生を振り返るようなもの。
でも私くらいの年齢になると
山の頂上から人生を見渡すことができる」
シャネルブランドの創始者ガブリエル(ココ)・シャネルが、若いモデル志望のノエルに言った言葉。


私はブランドにはあまり興味はないが、シャネルの生き方には共感をおぼえる。
特にこの言葉には大いに感銘を受けた。
人間ある程度年齢を重ねなければ分からないこともある。


昨年この言葉と同じことを言ったかたと、お会いすることができた。

去年の4月に寺岡恒一の墓参及び恒一さんのお母様にお会いするためにご一緒した
俳優の佐生有語氏と写真家の古田登紀子さんは、西麻布にある『スポーツトレイン』というショップに係わりの深いかただと伺った。
『スポーツトレイン』は、俳優の油井昌由樹氏とお嬢様の三佳さんが経営しているショップだという。佐生氏はそのショップのお仕事にも携わり、俳優活動やショップで得た収入の
大半を太平洋戦争時の遺骨収集のための平和活動資金になされていたそうだ。
そんな立派なかたとご一緒できてありがたいことだと、去年のことをしみじみと思い出している。
油井昌由樹氏といえば黒澤明監督作品の映画俳優で有名なかただ。
油井氏には失礼かもしれないが、私は山田洋次監督の『男はつらいよ・知床慕情』に
出演なされた油井氏のイメージが印象深い。
私は、佐生氏や古田さんがどれほど素晴らしい人たちであるかを、
油井氏や、お二人を知る方々にもお話ししてお伝えしたいと思い、
去年の夏にショップを訪ねた。
『スポーツトレイン』には様々なアーティストが集うような所だと思った。
ショップにいらしたかたは皆、自分の生き方をしっかり持った独自色のある方々だった。
私はその場所で多くの元気をいただけたように感じた。
その日、油井昌由樹氏ご本人にお目にかかれたことが何よりも嬉しかった。
その時の油井昌由樹氏の言葉が今でも印象深く心に響いている。


「私の年になると、人生のありかたや方向性が見えてくる」
これこそ正に、人生の達人のセリフであると思った。