学歴とは

「学歴や家柄だけで人を判断するような、そんな
薄っぺらなつまらん人間になったらあかん」と、
父は生前そう話していた。
子どもの頃、父の最終学歴は高卒だと思っていたら、大学を出ていることが後で分かった。
当時は飛び級という制度があって、大学を2〜3年で卒業できることがあった。父も飛び級で早く卒業した。
そのためか父は、「大学なんて2年しか行ってないから高卒のようなもんや」と言っていた。
先月、中学校の恩師から、中学時代の先輩が10年前に亡くなったことを知らされた。
私よりも2年上で生徒会長だったその先輩は、成績はトップクラスで、容姿も凛々しい顔立ちをしているため、全校生徒のあこがれの的であり、際立つ存在だった。
一流大学を卒業して大企業に就職し、順風満帆で将来有望視されていた先輩は、きっと今頃は会社の重役にでもなって、名声をほしいがままにしていることだろうと思っていた。
ところが先輩は長年植物状態で病床にいたという。原因は自殺未遂による脳疾患だった。
結婚したいと思っていた女性が被差別部落出身者であることを、両親や親戚に大反対されて自殺を図ったのだそうだ。
先輩は十数年間意識不明の植物人間として生き延びたが、ついに亡くなったという。
あれほど優秀で前途洋洋だと思われた先輩が植物人間で人生を終えていたとは、
あまりにも意表をつく出来事で大変驚いた。

あさま山荘人質事件や大量リンチ殺人事件を起こした連合赤軍のメンバーも、ほとんどが一流大学、それも国立大学出身者だ。
優秀な学生が、なぜ取り返しのつかないほど道を踏み外すことをしたのだろうか?
学歴は、高ければ良いというものではない。
私の同級生が学歴詐称で2ヶ月間の停職処分を受けたそうだ。
大卒なのに高卒と偽って学校給食配膳員や用務員の職に就いたためだ。
大卒者は給食配膳員や用務員にはなれない。
自分自身に正直に生きないと薄っぺらな人生になってしまいそうだ。