桜の頃、墓参に想う

今日、久しぶりに寺岡恒一さんのお墓参りに行った。
今年は桜の開花が例年よりも早く、霊園の桜並木も満開だった。
あいにく霧雨が降って、どんより曇った空だったが、
それでも満開の桜は鮮やかで、見ごたえのある素晴らしい景色が眺められた。
ずっと霊園の桜並木を見たいと思っていたので、墓参に行って良かったと思った。

午後、寺岡さんのご自宅を訪れた。
ご自宅のお庭にも箒桜が綺麗に咲いていた。それに乙女椿や木蓮の花も咲き始めて、
すっかり春の装いの庭になっていた。
寺岡さんは最近あまり外出なさらなくなったそうだが、来月はお孫さんの結婚式に出席するのを楽しみにしていらした。

寺岡さんをお訪ねすると、まるで時間がゆっくりと流れていくような気がして、またお会いしたいという気持ちになる。

ただ、恒一さんのお母様はご高齢でいらっしゃる。
もし病院や介護施設に入られることになったら、もうあのお宅を訪れて恒一さんの遺影と対面し、お参りすることは叶わなくなる。
恒一さんは大学時代に釣りのサークルに入っていた。
その時釣った魚拓が今もあるそうだ。
今度是非その遺品となった魚拓を見せていただきたいと思っている。

1月の恒一さんの命日の頃には、高校時代の同級生が何人かお墓参りに訪れるそうだ。
同級生の一人から、「霊園で一番きれいな墓地にしてきました」と墓参の報告があったそうだ。
高校時代の恒一さんとの忘れられない強い友情があったのだろうと想像した。

寺岡さんは、杉崎ミサ子さんをご存知でいらした。
杉崎ミサ子さんは介護の仕事をしているそうだ。
寺岡さんは、杉崎ミサ子さんが介護のような福祉関係の地道な仕事を選んだことだから、きっと真面目な人なのだと思う、とおっしゃっていた。
もし寺岡さんが、恒一さんの妻であった杉崎ミサ子さんとお会いする機会があるとしたら、お互いどんな気持ちになれるのだろうか、と想像を巡らせた。
本当にそんな日が来ることを願っている。私も杉崎ミサ子さんにお会いしたい。
寺岡さんが、恒一さんと共に過ごしたご自宅でお元気でお過ごしになられている時に。