生きがい

"A man takes a job, you know, and the job becomes
 what he is."
"You do a thing and that's what you are."
"You get a job, you become the job."
「ある仕事に就いたらその仕事がその人自身の姿になるんだ」
「君が何かをすれば、それが君という人間そのものなのだ」
「君がある仕事を得れば、君がその仕事になるのだ」
 映画『タクシー・ドライバー』



「俳優には定年がないから生涯現役でいられていいじゃないですか。」と、
寺岡恒一さんのお母様が、寺岡恒一役を演じた佐生有語氏に話したことを思い出す。
定年のない仕事は魅力的である。
俳優は年齢相応の役ができるし、様々な人間になりきることができる。
生涯現役の仕事を持ちたいものだ。
思えば今まで、たとえ給料が良くてもその仕事が好きになれず誇りを持てなかった場合は長くは続かなかったように思う。
職業に優劣はない。
いかに自分にとってその仕事に誇りとやりがいを持って打ち込めるかだと思う。
仕事に限らず人の行動にも同じことが言える。
連合赤軍事件で生き残って逮捕された者はもとより、犠牲になった若者たちに対しても「せっかく一流大学に入ったくせに馬鹿者だ」と言われて、世間の目は厳しかった。
寺岡恒一さんは組織のあり方に疑問を感じていたようだ。
なぜ組織から離脱しなかったのだろうかと、お母様におたずねしたことがあった。
寺岡恒一さんのお母様は、「息子は法律の域を超えて突っ走ってしまった。
組織の幹部でもあり、引くに引けない事情があったのだと思う」と、おっしゃっていた。
連合赤軍のメンバーは、法律に触れるような過激な活動をしたため、
全員指名手配者だった。
彼らは誤った方向にまっしぐらに突き進んでいったが、確固たる信念を抱いて、
学生運動にやりがいを感じていたにちがいなかったと思う。
映画監督の若松孝二氏は、彼らが目指していた信念に共感して、
連合赤軍の立場から見た事実を後世に残したいと思ったのであろう。
今からでもやりがいや生きがいを感じられるような人生を歩んでいきたいと願う。