故人を偲ぶ

今日は素晴らしい秋晴れだ。

今までの長雨と天候不順を払拭するかのような雲一つない青空とすがすがしい秋の空気が気持ちよく感じた。
半年ぶりで寺岡さんのお母様にお会いした。
ご自宅の庭には柿の木が実をつけていた。
今年は当たり年ではないため、柿の実は少なめだそうだ。
寺岡さんはご高齢ながらもお一人で生活していらして、感心するばかりだ。
週に1日だけ介護ヘルパーの方に清掃などを手伝ってもらっているそうだ。
1日誰とも話すことがない日もあるため介護の方が来て話をするのも楽しみのようだ。
今日もあまり事件のことには触れずに日常の何気ない会話を楽しんだ。
寺岡さんはもう遠山さんとは音信不通になってしまったそうだ。
それに事件に関する人たちとも情報も連絡も途絶えてしまったらしい。
それでもお墓参りに行ったときにお線香を見かけることがあると、
誰かがお参りしてくれたらしくて嬉しく思うそうだ。
また、雪野建作氏らが今でも「連合赤軍の全体像を残す会」を続けていることも、
事件のことを忘れずにいてくれてありがたいと思っていると話していた。
今日は恒一さんの月命日でもある。まだご自宅にいらしたときにはどんな日々を過ごしていたのだろうかと思いを巡らせた。

人は2度死ぬという。1度目は自身の肉体が死んだ時である。
亡くなった後に遺族や故人を知る人の心の中で生き続けている。
しかし誰からも忘れ去られ、思い出して偲んでくれる人が誰もいなくなった時が2度目の死であり、永遠に死ぬ時である。
連合赤軍事件のことが全く世間から忘れ去られ語られなくなってしまったら、犠牲者を偲ぶことができなくなる。
2度目の死が訪れることがないことを願うばかりだ。