めぐる季節 春

昨年の10月以来、もう半年が過ぎた春のこの日に、墓参の後、寺岡さんにお会いした。
お宅のお庭の椿が綺麗に咲き誇っていて、
厳しい冬もやがては過ぎゆき再び春がやってくるのだと季節の移ろいを感じた。
聞くところによると、恒一さんの命日の頃に、
高校の時の同級生たちが墓参にいらっしゃるという。
その中に井上さんという方がいらっしゃるそうだ。
どうやらあの社会活動家の井上澄夫氏の弟様のようだ。
井上澄夫氏はこの冬に脳血管疾患で急逝したそうだ。
井上氏の手記にも恒一さんが登場し、井上氏のお宅に遊びに来た思い出が書かれていた。
寺岡さんは恒一さんが亡くなられてからもう何十年にもなるのに、今でも高校の同級生がお参りに来てくださってありがたいことだとおっしゃっていらした。
きっと高校の時のお友達にとって恒一さんは忘れがたい、かけがえのない友情で結ばれていた何かがあったのだろうと思った。
寺岡さんはご自身が高齢で不安になることもあるそうだ。
しかし住み慣れたお宅でずっと過ごせたら幸せだと思っているそうだ。
先のことはわからないから今を満喫するのが最良だ。
寺岡さんにお会いすると、またお会いしたいと思う不思議な魅力を感じるかただ。
おたずねしたいことがあったら聞いておきたい。
恒一さんのことを知る人たちにもお会いしてみたいと思った。