人生は旅のごとく

"Whenever I prepare for a journey I prepare as though for death.
Should I never return, all is in order.
This is what life has taught me." K.Mansfield
(旅の支度をするとき、私にはまるで死の準備をするかのようだ。
帰ってこられなくても万事整然としている。
これこそ人生が私に教えてくれたことだ。)キャサリンマンスフィールド(1889〜1923)


ニュージーランド出身の女流作家マンスフィールドは、当時まだ死病だった結核を患っていた。
たとえ自分一人が死んだとしても世の中は何事もなかったかのように正常に経過していくものだと感じていたのだろう。


近所の高齢の奥さんが老人福祉施設に入所したらしい。
一人暮らしだったが、時々元気そうな姿を見かけることもあった。
自然の里山が好きで、庭に草木を植えて楽しんでいた。
ご自宅のすぐそばには桜並木に面した川があり、
春の桜の時期の眺望を楽しみにしていた。
最近そのかたを見かけなくなり、どうしたのかと心配していたところ、
認知症が進行して、やむなく施設に入所したとのことだった。
仮にお会いできたとしても、もう会話ができない状態だそうだ。
人の運命は明日どうなるかわからないものだ。
空き家となったその家の庭には家主がいなくても
相変わらず丹精込めて植え育てていたと思われる草花がきれいな花を咲かせている。