全体像と素顔

昨日、雪野建作氏にお会いすることができた。
雪野氏は寺岡恒一さんと行動を共にしたかたで、
今も連合赤軍事件の全体像を残す会を主催していらっしゃる。
今まで事件を起こした当事者が書いた手記などを読むことがあったが、正直なところ、保身や責任転嫁や言い逃れと受け取れるような手記が多かったので、失礼ながらこの「全体像を残す会」も元メンバーの弁解や、犠牲者に対して済まなかったが仕方がなかったとするような正当化が目的の会なのだろうと思っていた。
しかし、犠牲になった同志への追悼や事件の真相に迫ることで犠牲者を偲ぶ真摯な志が感じられて感動した。
雪野氏は犠牲者のお墓参りや偲ぶ会もなされて、寺岡さんのお墓参りにもたびたびいらしていたようであった。
ご両親にもお会いした時のことをお話しくださった。
恒一さんのご両親は活動を共にしていた雪野氏を歓待してくれたそうだった。
雪野氏にお会いして、よりいっそう寺岡恒一さんや連合赤軍のメンバーのことを深く掘り下げて知ることができた。
寺岡恒一さんはいつもニコニコして、声は明るく、優しい人だったそうだ。
そして喫煙や飲酒もしたが、節度ある喫煙マナーを守っていたことも知ることができた。
一緒に恒一さんのおばあちゃんの家に行った時のことや、釣りのサークルでの思い出など、恒一さんの素顔が浮き彫りにされていくようで、貴重なお話しを聞くことができた。
当時の活動内容の連絡手段は専ら手紙だったことも興味深いことだった。
多くの手紙のやりとりがあったことであろう。
連合赤軍事件に関与した人たちももう定年を迎える年齢にさしかかり、ちょうど人生の山の頂上に辿り着き、全体像を見渡しているようにも感じられた。
連合赤軍の犠牲者が眠っている霊園も桜の見ごろを迎えていることであろう。
非常に貴重な時間を共有できて、雪野氏にお会いできたことに感謝し、
お礼を申し上げたい。