健全な精神と身体

「健全な精神は健全な肉体に宿る」
という言葉がある。
連合赤軍事件の主犯者であった永田洋子
バセドウ病を患っていた。
この病気は甲状腺機能が異常に亢進するため、
疲れやすくイライラして怒りっぽくなるといった症状が上げられる。
永田洋子が山岳ベースアジトで仲間のほんの些細な言動に言いがかりをつけて大量リンチ殺人事件に至った背景には、精神面で異常に
イライラするバセドウ病特有の症状が絡んでいた疑いもあるとされた。
バセドウ病は定期的に薬を服用することで症状が消えるが、永田洋子は逃避行を続けていたため薬も満足に服用できず、病状はかなり進行していたようである。
逮捕後は医師の診察で薬を投与され、病状も安定し、徐々に態度を軟化させたとも
思える。
事件当時、バセドウ病患者たちは、「永田洋子の病気だ」「永田洋子みたいな
恐ろしい殺人鬼になる」と言われ、偏見の目で見られて、つらい思いをしたそうだ。
坂口弘は心臓病の持病があった。
あさま山荘での機動隊との銃撃戦の末に催涙ガスと放水を浴びせられた時、
心臓発作を起こして高熱を発し、人事不省に陥り、無抵抗の状態で逮捕された。
病気の永田洋子坂口弘は精神も健全ではないからあのような恐るべき大量殺人事件を引き起こした、というのは語弊がある。
そもそもこの「健全な精神は健全な肉体に宿る」は誤訳である。
本来の意味は、"It is to prayed that the mind be sound in a sound body."
(健全な身体に健全な精神があることが願わしい)とされる。
つまり心身の健康だけを願うべきであって、富や名誉など欲張った願いは
身の破滅である、という意味である。
連合赤軍事件の主犯者である永田洋子坂口弘は確かに持病を病んでいたが、

それだけが原因で事件を起こしたわけではない。
様々な悪条件が重なって大量リンチ殺人事件やあさま山荘人質事件を引き起こす結果となったと言えよう。
健康に勝る宝はない。私の願いも、ただ健康であることだけである。