ヒヨドリ

朝早くヒヨドリの大きな声がしたと思ったら、
庭のブルーベリーの木にヒヨドリが誤って防鳥ネットにひっかかって身動きできずにいるのを見つけた。
普通、防鳥ネットがあると鳥は近寄らないものだが、きっと独り立ちして間もない若くて経験不足のヒヨドリだったのか脚や翼にネットがからまってパニック状態だった。
ヒヨドリを助けようとネットから外したが、よほどショックが大きかったのか、
ぐったりして脚を伸ばして目も閉じたままだった。
小さな鳥かごがあったのでその中に入れたが、横たわって動かない状態で、
このまま死んでしまうのかと思った。
あまりにもかわいそうなので、せめて水を飲ませようと、
水を入れたカップにくちばしを入れたら我に返ったように反応して水を飲んだ。
これで少し元気が出たようで、足を地につけて体勢を整えた。
罪滅ぼしにブルーベリーを与えてみようと思い、かごの隙間からブルーベリーを差し入れようとした瞬間、指の間から素早くブルーベリーを奪い去り、むさぼるように一気に食べてしまった。さすがにヒヨドリは野鳥である。食べ方が野性的で勢いがあった。
見たところ怪我をしているようでもないので、もっと広い箱に移して元気が出るまで様子を見ようと、かごを開けたとたん外に飛び出して一目散に空の彼方へ飛んでいった。
捕まえた時には死んだようにぐったりしていたヒヨドリが、元気に飛び去っていって本当によかったと思った。
ヒヨドリとのほんの束の間の出来事だったが、野鳥のみなぎる生命力の強さを感じた。
野鳥は自由だ。しかし危険も多い。夕方この辺は激しい雷雨になった。
こんな時、あのヒヨドリはどうしているのだろうか、無事に自然界で生き抜いてほしいと思った。庭のブルーベリーの木には、もう二度と来ることはないだろう。それでいい。