2月に想う

「時代は変わっても、何も変わらない。」
佐生有語氏のコメント 
映画『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』



映画監督の若松孝二氏は、連合赤軍による一連の事件の落とし前をつけるために、映画『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』を製作した。
出演が決まった俳優全員が死に物狂いで役に取り組んで「あの時代」を生きた若者たちになりきった。

「死刑は不服だ。最高裁に裏切られた」と言い放った永田洋子も今日2月8日の誕生日を迎えることなく息を引き取った。最高裁判決で死刑が確定したのも2月だった。
1972年のこの頃に永田が山岳ベースで凄惨な犯行を重ねていた時と一致する。

何か暗示的で奇遇な廻り合わせを感じる。
永田洋子の中に、2月は自分の誕生月であると同時に自ら犯した罪も、当然意識していたと思う。事件の責任を取り、罪を償って落とし前をつける勇気に欠けていた永田洋子は、同じ時期にリンチで殺された仲間たちに呼ばれたのだとも思えてくる。
そして今度はあの世で、命を奪われた仲間たちから「総括」を迫られているかもしれない。
永田洋子は著書の中で「なぜあんなことになってしまったのか」と書いている。
永田自身もその答えを出せないままこの世を去った。もしあの世で答えが出たとしても、連合赤軍事件が犯罪史上から決して消えることはない。
時代が変わっても、決して変わることなく生き続けるのである。

「やっぱり生きるしかないんだ!
今を精いっぱい生きるだけなんだ!」
佐生有語氏のコメント
(映画『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』)


写真上:映画『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』
写真下:寺岡恒一の遺影と位牌に手を合わせる佐生有語