科学者の証言

連合赤軍事件当時、私は小学生だった。
事件の記憶はほとんど無く、ただどこか山の中で
恐ろしいことがあったらしい、というあいまいな記憶
だけだった。
連合赤軍事件について初めて知ったのは大学生の時、恩師の川島四郎教授(生物学)の講義の中でのことだった。
川島教授は事件当時、検察側の捜査にも協力した。
連合赤軍事件の異常な残虐性が気になり、彼らの事件当時の食生活を調べたところ、
缶詰やインスタント食品などの加工食品ばかり食べて、生野菜や果物を全く食べていなかったことが分かった。
これこそビタミン・ミネラルの欠乏症が引き起こした犯罪であるとの見解だった。
ビタミンやミネラルが不足すると体調不良だけでなく、精神的にも不安定になり、
疑心暗鬼になって精神不安や殺気立った行動を起こすのである。
それに連合赤軍による大量リンチ事件が起きたのは厳寒期であった。
寒いと交感神経が異常をきたしてイライラしたり怒りっぽくなるという。
彼らの行動は寒冷期の交感神経の異常な働きとの相互作用によってさらに凶暴化したといえよう。
川島教授は取調官に、逮捕されたメンバーらに野菜や果物を中心にした食事を与えるように指示した。メンバーらは精神的に落ち着きを取り戻し、かたくなだった気持ちがほぐれて次々に自供を始めた。
永田洋子は取調べ中に親族から大福の差し入れがあった。それを口にした翌日に自供を始めた。
糖分は大脳の思考力を活発にする働きがある。朝、コーヒーや紅茶には砂糖を入れて飲んだほうが脳を活発化させて目覚めが良いという。 
それに糖分には精神を安定させる効果もあるため、最後まで強硬な態度で黙秘を続けていた永田洋子もついに犯行を語る気持ちにさせたのであろう。
栄養素のバランスのとれた食事がいかに肉体だけでなく精神にも重要かが、連合赤軍事件の捜査に携わった恩師の証言からも実証された。
あの当時の川島四郎教授の言葉が今でも鮮明に思い出される。