復旧した接点

2年前の4月に、15年ぶりで寺岡恒一さんのお宅に
電話をかけてみた。
恒一さんのお母様がお出になられ、お元気そうな
ご様子だった。
私のことも覚えていてくださった。
お父様はもう亡くなられたそうで、
今は一人でご自宅にいらっしゃるとのことだった。
あの事件のことは一度たりとも忘れたことはない、ともおっしゃっていた。
映画のこともご存知でいらした。
恒一さんのことをどんな役者が演じているのか、知りたいのだろうか?
恒一さんのお母様はご高齢でいらっしゃるし、ご自身でもいつどうなるか分からないとおっしゃっていた。
私はこのかたがご存命のうちに、何とか寺岡恒一役を演じた佐生有語氏とお会いできる日が来てほしいと願い連絡したいと思った。
佐生有語氏は長らく海外で活躍して、外国映画に出演した国際的映画スターだ。
私のような一個人が連絡してよいものかと迷っていた。
あの映画で寺岡恒一役をどんな思いで演じたのか、ご遺族のかたに会われたのかを
是非知りたいと思い、迷った末に連絡した。
佐生氏からご親切にもお返事をいただけて、恒一さんのご遺族のかたにお会いしたいとの意向を確認した。
私には意外で信じられないようなありがたいお話だった。
しばらく途切れていた時間がよみがえったように思えた。