わが故郷

久しぶりに生まれ故郷の横浜に行った。
横浜にいた記憶はあまりないが、
行ってみると断片的だが故郷の記憶がよみがえってくるように思えた。
やはり故郷はいいものだ。
故郷は生まれ育った所に限ったものではないかもしれない。
自分にとって心のよりどころとなる場所や、大切にすべき物事や、
何か目指していくべきものなのかもしれない。
中国の作家、魯迅も著書『故郷』で、最後に同じようなことを書いて文章を終えている。


「我想;希望本是無所謂有、無所謂無的、這正如地上的路;其實地上本没有路、
走的人多了、他便成了路。」魯迅 『故郷』
「私が思うに、希望とは、本来あるものではないし無いものでもない。
それは正に地上の道のようなものだ。
もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、おのずとそれが道になるのだ。」


何と中国人らしい文章だろうか。広大な中国大陸が目に浮かんでくるように感じた。
故郷を離れ、日本で医学を学んだ魯迅は、祖国、中国を片時も忘れたことはなかったのだろう。
たとえどこにいようと、どんな時でも故郷は自分が行き着く希望の星のようなものなのだと思う。
海外から帰国の途に着くとき、飛行機の窓から東京湾さらには東京タワーや富士山が目に映った時、わが故郷日本がしみじみといとおしく感じたことを思い出す。