仲秋節

今日は中秋の名月である。
中秋は元は中国の行事で、中国語では「仲秋節」と表記される。
仲秋節には月を見ながら月餅を食べる習慣があり、特にこの時期は、塩漬けした卵黄が入った仲秋月餅が広く出回る。

日本のお月見も、中国の仲秋節から来ている。
ススキや秋の花を生けて、白玉餅と、早生の柿と里芋をお供えして
十五夜をめでる習慣は秋らしい風情がある。
月餅は、日本のもち米から作る白玉餅と違って小麦粉が原料で、餡に胡麻油が使用されているものが多いため、餅といっても濃厚で脂分が多いので、中国茶が飲みたくなる。
私は月餅には、台湾の木柵鉄観音水仙茶(黒烏龍茶)のような口がさっぱりするお茶がよく合うと思う。

昔の唐の詩人は月を詩に詠んだ。
遣唐留学生として18歳で唐に渡り、日本人でありながら科挙に合格し玄宗皇帝に仕えた阿倍仲麻呂漢詩が得意で、多くの優れた詩を詠んで皇帝を喜ばせ、皇帝から「晁衡」の名を賜ったといわれている。
帰国が叶わず唐で73歳で永眠した阿倍仲麻呂の、月を詠んだ望郷の詩が今でも我々の心を打つ。


「あまのはら ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出でし月かも」 阿倍仲麻呂

「翹首望東天、 神馳奈良邊。 三笠山頂上、 想又皓月圓。」 阿倍仲麻呂(晁衡)

"Across the fields of Heaven
Casting my gaze I wonder
Weather over the hills of Mikasa also
That is by Kasuga,
The moon has risen. " Abe-no Nakamaro(698〜770)