復讐するは我にあり

先月、寺岡恒一さんのお母様にお会いした際、この日は珍しく私のほうから、

永田洋子が脳腫瘍で危篤状態であることを告げた。
寺岡さんはすぐに永田が今どこの病院にいるのかと尋ねてきた。
今は八王子の医療刑務所に収監されていることをお伝えした。
その際、不意に私の口をついて出た言葉があった。
復讐するは我にあり
聖書に出てくる言葉で、「我」とは神を指す。
悪に対して悪で報いてはならない。悪を行ったものに対する復讐は神である我が行う… 仇討ち無用。あなたに代わって神である私が報復する、という意味だ。
永田洋子連合赤軍事件の主犯者でありながら言い逃れと責任転嫁を続け
「誤りを犯したが、それを止めなかった仲間も悪い」と逃げ口実を述べた。
そして「最高裁に裏切られた」と言った。
人間失格」とはこういう者を指すことだと思った。
うわべだけの謝罪しかしない永田を瀬戸内寂聴は「あなたが何べん謝っても
命を奪われた仲間は誰ひとり生きて帰ってこない」と諭した。
寺岡恒一さんのお母様は、「復讐するは我にあり」の意をご存知のようで、
同感の表情がうかがえた。
病気は神様がくれた休暇といわれているが、自らの罪を棚に上げ、反省もなく責任転嫁を続ける犯罪者にとって病気は神の裁きのように思えてくる。
永田洋子は、残された日々とどう向き合って生きていくのだろうか?

復讐するは我にあり (文春文庫)

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