再び、時を越えて、感謝の時を

映画『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』で
寺岡恒一役を演じた佐生有語氏は、
このようなメッセージを残している。
「僕は少なからず、あの時代を生きたと感じた。
それは僕の実体験として、僕の中に確実に
残っている。」・・・
志半ばで無念のうちに命を奪われた団塊の世代の青年活動家の役を、
強固な志と信念を持った団塊ジュニアの俳優が演じた。
何か深遠なものを感じる。
私はただ、命を絶たれた若者たちの無念さを共感し冥福を祈ることしかできないが、
俳優はもっと奥深くまで、彼らの魂のところまで到達できる。
これこそ役者にしかできない偉業である。
もし佐生有語氏ではなく別の人が寺岡恒一役で出演していたら、
私は寺岡さんのお母様にお会いすることはなかったと思う。
私が15年越しに寺岡恒一さんのご遺族と再び接点をもつことができたのも、
途絶えていた時を再びよみがえらせてくれて、途切れていた接点を再びつなげてくれた
佐生有語氏がいらしたからできたことだ。
そしてもしこの映画がなかったら、このような生涯にまたとない素晴らしい出会いと感動もなかった。
「よくこれほど息子にそっくりな人を見つけてきてくれた」と語った寺岡恒一さんのお母様の言葉を思い出す。
佐生有語氏に重ねてお礼を申し上げたい。

若松孝二 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程

若松孝二 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程